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| 浦上蒼穹堂社長 浦上 満 |
「よくわからないけど、好きなんです!」と
いってくれたほうが心打たれます
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浦上 満 Uragami Mitsuru
浦上蒼穹堂社長。1951年生まれ。大学卒業後、古美術界の老舗、繭山龍泉堂に入社。5年の修行の後、1979年、東京・日本橋に浦上蒼穹堂を構え、現在に至る。大学で古美術の講義を行うなど、多方面で活躍。主な取り扱い分野は、中国や朝鮮、日本の古陶磁、金石。ほかに浮世絵(特に葛飾北斎)なども。 |
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| 中国・金時代の《黒釉掻落花文瓶》 |
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| 中国・漢時代の《灰陶女子俑》 |
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| 浦上さんの右手にあるのは、中国・唐時代の《加彩鎮墓獣 一対》 |
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| 中国・北斉時代の《加彩武人俑》 |
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| 『北斎漫画』3編より「雀踊り」 写真提供=浦上蒼穹堂 |
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| 中国・西晋~東晋時代の《越州窯青磁動物》 写真提供=浦上蒼穹堂 |
- 古美術の世界は、とてもむずかしそうで、敷居が高いと感じている方が多いと思います。同時に、かなり高額という印象もあります。
そうですね。古美術が好きな方でも、「古美術店は敷居が高い」という方はたくさんいます。初心者なら、なおさら身構えてしまうでしょう。でも、そんな心配はまったく必要ありません。たとえば、私の店の若いスタッフにしても、基本的にはみんな「好きだから」この世界に入っているんです。美術を学んだ人も、そうでない人もいます。
それで、彼女たちの多くが最初、美術品を見て「こんな値段なんですか」というんですよ。それは「高い」のではなく、「これなら買えるかも」ということ。「古美術は高額」という先入観があるから、みんな値段を見て逆に驚くんです。
- 時代小説などには、「骨董屋さん」がよく出てきます。骨董と古美術に違いはありますか。
僕らが古美術というものを、平たく「骨董」という人もいる。でも僕は、そこには違いがあると思っています。骨董とは、もともと曖昧な言葉なんです。だから、「ただ同然で買ったものがすごい値になる」とか、「だまされて、偽物を買わされた」といった小説のようなことがおこって、「いいかげんな世界」という認識をもたれてしまっている。でも、ものには正しい買い方があるんです。それは、ちゃんとしたものをちゃんとしたところで買うというシンプルなこと。買ったことのない人が、いきなり掘り出し物をすることなど、まずありませんし、真贋を見極められるわけもありません。
また、古物と古美術も違う。ただ古いだけのものと、美術品としての品格を備えるものの間には、明らかな差があります。古美術になるものは、生まれたときからすでにすごいんですよ。
- たとえば、高名な作家が地位の高い人のためにつくった陶器、とかいったものですか。
いや、名もなき人の作品でもいいんです。最高の技術力や魂を込めてつくられ、できたときから驚きがあったであろうもの。それらには力があり、われわれを感動させてくれます。
ただし、「かつて大茶人が愛玩した」など、後付けの評価がついたことで「すごい」と思われる場合がある。これは、僕は嫌なんですね。北大路魯山人の本に、おもしろいくだりがありました。お茶会で出てきた茶器を、みんなが「結構でございます」とほめるのを聞いた魯山人が、「なにが結構だかいってみろ」と喝破したという話です。僕はその文章が気に入りました(笑)。「結構」で通ってしまうと、怪しげな世界に流れてしまう。だれが評価したかではなく、なにがどう結構なのかを自分で見極めようという気持ちは、もっているべきだと思いますよ。最初に抱いた感動を忘れないほうがいいですね。本で読みかじった知識をちらつかせても、私たちにはすぐわかる。それより「よくわからないけど、これがすごく好きなんです!」といってくれたほうが心打たれます。
- 古美術の初心者でも、この世界に足を踏み入れるきっかけがつかめるような仕掛けがあるといいのですが......。
僕らも、すそ野を広げる努力をしています。国内外でアートフェアに参加するのも、そのひとつです。2005年にアートフェア東京に初出展したときは、現代美術の東京画廊さんとコラボレーションしました。そのとき、僕は思い切って中国の新石器時代の美術品を出したんですよ。当然、東京画廊は現代美術を並べます。その展示を見て、僕が出したほうが現代作家の作品だと思った人がずいぶんいたんです。これはおもしろかった。古美術とはいえ、新石器時代までさかのぼってしまうと、よっぽど斬新に感じるんです。そうした魅力をもっといろいろな人に知っていただきたい。そんな気持ちで、これからもさまざまな試みをしていこうと考えています。
出典: ART BOOK vol.1 (※画像、内容一部改変)
Photo by SCENE inc.
(c) MORIMOTO Co.,Ltd.







