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アートの楽しみ方 | アートのある暮らしへの提案 Vol. 1 |辛 美沙(アートフェア東京)

アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクター 辛 美沙
Photo by SCENE inc.



初めての作品購入を考えている方こそ
           安心してアートフェアに来てほしい




 辛 美沙  Shin Misa

アートフェア東京エグゼクティブ・ディレクター、Misa Shin & Co.代表。ニューヨーク大学大学院修了。90年代にニューヨークで画廊の運営、アートのPR、ファンドレイジングに関わる。99年、拠点を東京に移し、アーティスト・イン・レジデンスの運営、東京藝術大学講師、森美術館勤務などを経て現職。









- アートフェアとは、どういったものなのでしょうか。
 アートフェアというのは、画廊と美術店の見本市のようなものです。つまり、展示されている作品が気に入ったら、お客さんはその場で購入もできる。これは、美術館や博物館の展覧会との決定的な違いですね。
 アートフェアは、けっして特別なものではなくて、世界各地で開催されています。有名なものになると、世界中の一流画廊や美術店が軒を連ねて、アートコレクターやアート関係者が各国から集まってきます。それはもう盛大なものです。この数年は、アジアでも増えてきました。

2008年、東京国際フォーラムで行われたアートフェア東京の様子
2008年、東京国際フォーラムで行われたアートフェア東京の様子
会場をガイドしているのは、お笑い芸人でアートコレクターとしても有名なおかけんた氏
アートフェア東京2008でのブースの様子(SCAI THE BATHHOUSE)
アートフェア東京2008 辛美沙氏とコレクターのSigg夫妻(Uli and Rita)

- どんな美術品を扱っているのでしょう。
 それはアートフェアごとの特色でもあって、扱う内容はいろいろです。
 アートフェア東京のことでいえば、いまではアジアでもっとも注目度の高いフェアとして世界的に認められています。その最大の理由は、扱っている作品のクオリティーの高さとジャンルの幅広さだろうと思います。現代美術をはじめ、古美術や近代美術、日本画、洋画、工芸品など、あらゆるトップクラスの芸術品が、そこで売買されているんです。しかも、出展している画廊、美術店は、海外からも含めて100を超えています。
「世界の先端を行く現代美術とは、どんなものなのか知りたい」「名工による、茶器などの陶芸作品が欲しい」「新築した家の壁に飾る、モダンな洋画を購入したい」「歴史を感じさせるような東洋美術を探している」......。そんな来場者それぞれのニーズに、応えられているのではないでしょうか。

- しかし、美術品の価値や値段というのは、わかりにくいような気がします。
 たしかに、美術品の値段など、普通は想像しにくいと思います。たとえば印象派の絵画が何十億円だったとか、高額な事例ばかり話題になりますしね。でも、きちんとしたアートフェアなら、かなりきびしい審査を通過しないと出展できません。それは、取り扱っている品のクオリティーや値段のつけ方の妥当性を、主催者側が保証するということでもあります。
 だから、初めての作品購入を考えているような方こそ、安心して来てほしいですね。アートフェアは、いちどにたくさんの画廊を見てまわることができます。これは、ほかの機会ではなかなかできないこと。しかも、すべての作品に値段がついていますから、各ブースを見比べながら検討もできる。相場もわかってきますよ。
 ちなみに、昨年(2007年)の来場者は3万2000人を超えました。それまでアートと関係してこなかった人に対しても、年々認知度が上がってきているのを実感しています。

- アートは見るだけのものではなく、買って楽しむものでもあると考える方が、ずいぶん増えました。
 そうですね。現代美術の若いアーティストの作品なら、なかには数万円で買えるものもありますし、最近は若い人たちも関心をもっているようです。
 それに、「掛軸が欲しいと思っていたのに、会場を見てまわっているうちに現代美術も気に入った」とか、「それまで興味のなかった古い焼き物の魅力を知った」といった声も聞かれます。これこそアートフェア東京ならではことだと思いますし、ほんとうにうれしいことですね。

- アートフェアが、いろいろなきっかけづくりになっているんですね。
 でも、それだけで終わらせないことも重要です。だから、アートフェアが売買の場であることは前提ですが、社会に対する文化的発信もしていきたいと考えています。
 たとえば、そのときどきの記録としての意味ももてるように、カタログをきちんとしたかたちで制作する。その意味で日英のバイリンガルは、当然のことです。
 また、関連イベントも開催しています。アート界で国際的な仕事をしている方や、アートと関係しながら別の領域で活躍している方を呼び、トークショーやシンポジウムを催したり、初心者向けのガイドツアーを行ったりしています。どれも予約で定員オーバーになるような、人気のイベントです。
 最初の入り口は、どんなところからでもいいんです。アートフェアの楽しさを、たくさんの人に知ってほしいですね。



出典: ART BOOK vol.1 (※画像、内容一部改変)
(c) MORIMOTO Co.,Ltd.

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