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| 美術サロンゆたか 外観 |
北陸の小京都、金沢。男川と呼ばれる犀川と女川と呼ばれる浅野川が、街の中心を浪々と流れていきます。兼六園の冬の雪吊りや春の桜など、日本美を代 表する自然景観を楽しむ人々で年間を通じてにぎわい、加賀百万石のお膝元で育まれた輪島塗、九谷焼、金沢箔、加賀友禅などの伝統工芸も暮らしに息づいています。
「街を歩けば謡が降ってくる」と言われるほど、能、邦楽、舞踊など、伝統芸能に親しむ土地柄でもあり、とにもかくにも文化資産には事欠かないところです。
今回ご紹介する「美術サロンゆたか」は、そんな金沢の中心地の商店街の中にあります。東京でのアートフェアに出展するのは、以前あった「国際コンテンポラリーアート」(NICAF)に2回、今回のアートフェア東京と、計3回になります。今年も一押しの作家ひとりをピックアップしてフェアに臨む、渡辺義友さんにお話を伺いました。
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| 画廊内観:開光市の作品などを扱う |
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| 古澤洋子"天空の鏡" |
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| 美術サロンゆたか 営業企画マネージャー 渡辺義友氏 |
- 画廊の成り立ちを教えてください。
先代のオーナーが、好きで掛け軸などを集めていたのですが、ある画商さんから買った作品が贋作だった、という事があったんです。
そのときの経験から、画商も正直な仕事をせねばならないと考えて、ならば自分でということで1974年に創立されたと聞いております。
- 地方から東京のアートフェアに参加するのは、なぜですか?
開催地が東京だからです。多くの画廊がまとまって出展するだけに、来場するお客さんの数はたいへんなものです。地方ではこうはいきません。
- 地方の画廊にとっては、東京でのフェアは敷居が高そうに思われていませんか?
はい、そういう声も聞きます。しかし、東京ベースの画廊だったらフェアにブースを出さなくてもインフォメーションだけ流して自分の画廊に来て もらえばいいでしょう。でも地方の画廊はなかなか全国のお客さんに知ってもらうチャンスがないし、作品を見てもらうこともむずかしいわけです。だから地方 の画廊のほうが、(フェアに参加する)メリットがあると思っています。
- 美術サロンゆたかは、1あるいは2作家に絞ってフェアに作品を出品していますね。
作家には、いわゆる「世に出るタイミング」みたいなものがあると思うんです。若い作家の場合、40歳以前には全国的なマーケットに出ていって ほしい。奈良美智や村上隆などが出て、日本の美術も世界が視野に入ってきた感があります。つまり、作家にとっては希望の持てる状況になってきています。で すので、フェアのタイミングに合わせて、美術サロンゆたかが考える「今売り出すべき作家」を紹介したいのです。
- 今回のフェアではどの作家のどんな作品を展示する予定ですか?
古澤洋子さんの新作をご紹介します。古澤さんは金沢に生まれ、金沢美術工芸大学を卒業された後もこの街を拠点に活動している日本画家です。
最近は山のモティーフが多いのですが、男性でも足がすくむような場所も実際にご自分で歩いてみるそうです。厳しい自然に向き合ったときの畏敬の念 が、今生きていることの奇跡を表すかのようにきらめいています。アートフェアには新作約15点を展示します。見る者に記憶として残る作品が多いので気に 入っていただけると思います。
- 金沢のお客様の特徴とはなんでしょう。
この街では圧倒的に茶道具を扱う古美術商が多く、工芸の人気が根強いのです。あとは金沢美術工芸大学の一期生である鴨居怜、教鞭をとった宮本 三郎などは、地元にも根強いファンが多い。アートに親しむ人は多く、はっきり言って(作品を見る)眼は高いと思います。しかし、残念ながらコレクターの数 が少ない。ですので、県外も含めてコレクターの数を増やしたいですね。
- 地方にあって、これから目指すところはありますか?
たとえば食品であれば「金沢とうふ」とか、地元の名前をつけたりもできますが、作家や作品にはつけようがない。でも、金沢の画廊で扱っていて、金沢でしか手に入らない作品というものがあるといいと思います。東京だけでなく、地方からの発信にも寄与したいものです。
- はじめてコレクションを持つという人に対して作品を選ぶときのアドバイスがありますか?
まずは好き嫌いで選んでもいいと思います。でも、はじめは勢いで「いい!」と思うかもしれませんよね。 だから、まずは一晩おいてみる。翌日、それでもまだ気分が昂っているのであれば(購入に)ふみきってもいいのではないでしょうか。あとは、作品を置く場所 とのマッチングが重要ですね。家具や調度品の色との相性は、意外にむずかしいもの。うちでは買う、買わないにかかわらず、実際に作品をお宅までお持ちして、 合わせてみることもします。最終的にはお客様がご自分で決めるので、こちらとしては特に「こちらのほうがいい」という薦め方はしません。暮らしをゆたかに するアートを、ぜひ身近に置いていただきたいと思います。
古い街並みと斬新で新しい考え方に沿った街作りが共存するように、歩いて移動できる距離に伝統工芸を扱うギャラリーも現代美術を楽しむ美術館もあります。 街全体が文化そのものという金沢から、伝統文化が支える「ゆとり」を携えて、美術サロンゆたかはアートフェアにのぞみます。
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美術サロンゆたか
1974年、金沢市の中心地にある竪町(たてまち)商店街に設立。
画廊名は豊かな生活のお役に立ちたいという願いを込めて "ゆたか"と命名された。
洋画、版画、日本画、工芸といったジャンルにとらわれず、開光市、安達博文、釣谷幸輝、北川宏人など幅広い作品を扱っている。




