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« 2006年11月 | メイン | 2007年02月 »

New York Reflections vol.5

Jacco Olivier, Calling, 2006
Courtesy Marianne Boesky Gallery

 32丁目の中央郵便局からの帰り、5時を過ぎていたけれど、24丁目の画廊だけ見ることにする。Marianne Boesky, Gladstone, Metro Pictures, Andrea Rosen, LuhringAugustine。すべてがよかった。こんなこともあるのだ。24丁目はいまやチェルシーの王道だ。画廊はやはり優れたジャッジである。しかもお金がかかっているから真剣だ。売れる作家という意味ではない。力があると見込んだ作家にお金をかけるのだ。

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New York Reflections vol.4

"Charles Long: Knowwirds"
Installation view, 2007
Photo: Manami Fujimori
Siobhán Hapaska
Fifteen Hundred Ways Not to See, 2006,
Photo: Manami Fujimori

 午後からチェルシーの画廊を廻る。David Zwirner, Postmasters, Anton Kern, Paula Cooper, Tanya Bonakdar, Casey Kaplan, 303, Andrew Krepps, Sikkema Jenkins & Co., Susan Inglett, PaceWildensteinと19丁目から22丁目まで。たった3ブロックだけれど、11軒見れば充分という感じ。残念ながらあまりパッとした展示はない。中では、ボナクダーの久方ぶりのチャールズ・ロングに新展開を感じる。ジャコメッテイの人体像のような、鳥のようなフォルムのパピエマシェ(素材は鳥の糞!)が、ミニマル彫刻の台座の上で揺れている。同じボナクダーの2階のスペースでは、ショーバーン・ハパスカがもっと大きな展開だった。流線型の工業デザイン的な彫刻で知られる彼女の新作は、動物の骨や毛皮や樹木など有機的なものと工業素材の混交で、シンボリックなトーテムのよう。松ぼっくりにジグソーパズルがぴったり収まった一本の木に錬金術をみた。

New York Reflections vol.3

 届いたばかりの『アート・イン・アメリカ』の2月号に面白い記事を見つけた。主要新聞や一般誌の中のアート批評の枠がどんどん減っているというのだ。一方では、現代美術の観客の数は増えている。この1年、アメリカでは、増改築のお披露目をした美術館が多かったし、ボストンICAは待望の新館をオープンさせた。
ニューヨークでは、MoMAの20ドルの入館料が喧々囂々の非難を浴びたが、いまではほかの美術館も追随し、それでも観客が減ったようにはみえない。MoMAもメットもいつ行っても混んでいる。アートへの関心はいままでにないほど大きくなり、オークション景気はうなぎ上りだ。こうしたニュースはだから、紙面を埋める。が、アート批評の立場は弱くなった。

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New York Reflections vol.2

Pictures by Famous Artists / 名家画譜
Akebi plant by Oguri Hakkei, c.1810
Frog by Matsumoto Hōji, c.1780-1810
NYPL, Spencer Collection

五番街と42丁目のニューヨーク公立図書館では、日本の「EHON」展をやっている。絵本とは子供の絵本だろうか。その歴史展なら、大正時代のモダンな挿絵が並ぶのかと期待したところ、子供の絵本はごくわずか。今展が扱う絵本とは、仏典から水墨画、喜多川歌麿に神坂雪佳、さらに河原温やヨーコ・オノら現代作家の本まで、広く絵付きの本のことをいうのであった。

アニメ時代だけに戯画や役者絵の人物描写を見るのは楽しい。うす墨の可愛い鹿の絵は光琳の絵本<光琳画譜>から、レオナルドも顔負けの解体図は 『解体新書』の頁から。正直、初めて目にするものがいっぱいだ。また、<白描源氏物語絵巻>(1554年)なるモノクロ版の絵巻の洗練さ、歌磨の<潮干の都登>(1789年)に見るシュールな貝の描写など、絵心のモダンさや美しさは現代アート以上かも。

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マイアミレポート1

Miami Beach, Florida ©Art Basel Miami Beach

 毎年12月初旬に開催される国際アートフェア「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ(ABMB)」は、スイスの「アート・バーゼル」のアメリカ版として2002年から始まった。まだ若い。が、集客率もアート界のトピックとしてもいまやダントツの地位を誇る。私は2003年の第2回から毎年訪れているが、昨年あたりからフェア会場も関連イベントも超過密状態となった。「もはやこれまで」と思っていたのだが、旧知の関ひろ子さんがやって来ると聞いて、急遽ニューヨークから合流することにした。

 ひろ子さんは、「アートフェア東京」の広報担当だ。「マイアミはすごいよ。こんなとこ、見ておいた方がいいよ」と先輩風を吹かしたい気持ちもあったが、私自身、考えてみたかったのだ。マイアミのフェアは何か違う、たぶんいま、ロンドンよりベルリンより、コンサバなニューヨークより、はたまた各地のビエンナーレより、一番ワクワク面白いのはここだ。でもなぜ? なんでマイアミが? なんでこんなに活気づいたの? こうした質問に答えていけば、マイアミ・バーゼルの特徴や、都市とアートの関係や、アートシーンの行く末(ここ10年のことですが)がおのずと見えてくる。

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マイアミレポート2

ルベル・ファミリー・コレクション 会場 ©Hiroko Seki

 いま、私たちがマイアミを訪れて、今日はルベル・ファミリーのコレクションだ、明日はエラ・シスネーロスの新しい美術館のオープニングだと、フェアの見学もそこそこに駆け巡る個人コレクションの存在は、5年前、ニューヨークのアート界ですら、知る人は少なかった。自分の画廊の若い作家の写真作品を積極的に買っていく人が、実はマルグリス・コレクションの主だったのかと、あとでびっくりする画廊主もいたほどだ。

 ともあれ、ケラーはこの地元コレクターに注目した。地元コレクターたちは、予想以上の展開を見せた。中でも、ベネズエラ出身のシスネーロス財閥の一人、エラ・シスネーロスは、2003年に「マイアミ・アート・セントラル(MAC)」を、2005年には「シスネーロス・フォンタナルス美術財団(CIFO)」を開館した。コレクションを見せるなら施設も作っちゃいましょうという、その気概も財力もすごいが、キュレーターを雇っての企画展もまた相当な質の高さである。例えば、MACの開館記念展「フロリディアン」は、タイトル通り、フロリダ在住の作家に焦点を当てたもの。ルイス・ギスパートやセルヒオ・ヴェーガら、いま注目の作家が早くも紹介される。今年のCIFO の企画展の一つ「ラテン・アメリカの抽象の現場」展は、まさに目から鱗だった。ロシア構成主義の直系にしてミニマル・アートの先駆ともいえる1940年代、50年代の作品が、いま、いよいよ新鮮に見える。

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New York Reflections Vol.1

Thérèse Bonney
Vollard at 28, rue Martignac, c.1932
 2007年のアート初詣は、メトロポリタン美術館のヴォラール展だ。昨年9月から開催中のビッグな展覧会だというのに、まだ見ないまま。最終日の今日、慌てて出かける。

 ヴォラールとはもちろん、パリの画商アンブロワーズ・ヴォラールのこと。セザンヌを世に出し、ゴーギャンを助け(安値で買って画家には恨まれ た)、パリに出てきた20歳のピカソの初個展を開いた。ヴォラールの手を経ていま世界の主要コレクションに収まる名作の数々を眺めれば、彼こそ、画商として「いい時 いい場所」にいたんだなあと実感する。見る眼があったのはもちろんだが、ディーラーの成功はたとえ一人でもいい、いい作家に巡り合うこと。それには時と場所が関係していると私は思う。

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